注釈付き抜粋版-MC2-JP

す。外国語で話すときには、母語とは違 うやり方で話を組み立てねばならないこ とも珍しくありません。そこで 、「外国語 で話すとは手持ちの語彙を駆使し、メッ セージを伝えるためにできるだけ話を整 理し簡略化する ことである」と学生が実 感できるような練習をすることにしまし た。手持ちの語彙だけで破綻なく話を 組み立てて、自分が本当に言いたいこと と大体同様のメッセージを伝えるという こと。これは外国語を話すときに必要不 可欠なスキルだと思います。もちろん練 習は必要ですが、このスキルが身につけ ばほとんど何についてでも話せるように なります。 以上をまとめると次のようになります。 外国語でのコミュニケーションとは、自 分が知っている語彙や構文の範囲内で メッセージを伝えるということです。 フラ

ンス語で話そうとするとき、最初はこの 経験が衝撃的かもしれません。自分はネ イティブスピーカーではなく、フランス人 のように上手に話すことができないとい う事実を認めることに等しいからです。 そして結果として、別の戦略、言語に対 する別の考え方を採ることに繋がりま す。通常フランス語を学ぶ際には、ネイ ティブが自然なフランス語で書いた様々 な文章や日常会話文を参照するもので すが、学生がそれをそのまま真似しよう とするのは現実的に不可能であり、やり 方として間違っているとさえ思います。 そういった方法はその言語に熟達して初 めて可能になることではないでしょうか。 初級者のうちは、必ずしもネイティブが 使うような表現でなくとも、シンプルな 表現や応用しやすく真似しやすい表現に 焦点を当てて学習する方が効果的だと 思います。

こういった要素を授業に取り入れ始めた のは10年ほど前です。様々なタイプの 練習やアクティビティを取り入れながら、 少しずつ練り上げてきました。現在は、 これまでの経験と実践を基にした2年生 向けの教科書『 Moi, je... コミュニケー ション A2 』を制作しています。ここから は、その仕組みを紹介するとともに、具 体的な練習問題を参加者の皆さんに実 際にやってもらいたいと思います。

この非常に刺激的なワ ークショップの全記録 をニュースレターに掲 載したいところですが、 紙幅の関係から不可 能でした。残りは是非 YouTube でご覧くだ さい!

ワークショップ の様子はこちら

第20回表現主体の外国語研究会でのワークショップの様子。

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