アルマ出版ニュースレター 2023
中 には、 学生 が「 送信 」ボタンを 押 すと すぐに 魔法 のように 採点 される Google フォームのようなツールに 解決策 を 見出 した 人 もいますが、まず 質問 をクローズ ドクエスチョンのみにしなければなりま せんし、 回答 の 選択肢 も 慎重 にしぼって おく 必要 があります。または、 課題 やテ ストをできるだけ 少 なくして、 一度 にま とめて 実施 する 人 もいます。 一部 の 恵 ま れた 人 は 第三者 に 添削 を 任 せられるでし ょう。ずぼらな 人 なら、 返却 しなければ ならない 答案用紙 で 採点 を 行 わず、 学生 を「おおよそ」で 評価 するだけかもしれ ません。しかし 大多数 の 教師 は、 終 わり の 見 えない 答案 の 山 に 苦戦 し 続 けている のです。 ラテン 語 の 「 corrigere ( 正 す)」に 由来 する 「 correct ( 添削 する)」という 語 に は、「 誤 りをなくす( larousse )」という 意味 と「 間違 いを 犯 した 子 どもに、 罰 (し ばしば 体罰 )を 与 える」という 意味 があ りますが、 今日 の 言語教育 においては、 「 評価 」や「 改善 」について 話 す 方 が 好 ま れるでしょう。 誤 りは、それが 正 しく 学 生 の 注意 を 引 いたときには 成長 の 源 とな ります。 以下 、 私 が 個人的 に 試行錯誤 し、 長年 かけて 改良 してきた 添削 の 手順 を 概 説 します。 教師 の 皆 さんが 退屈 な 添削 の 手間 を 減 らし、 学生 が 自分 の 間違 いに 気 づいて 進歩 するための 一助 になることを 願 っています。 添削について • 間違 いの 種類 ( 文法 か 語彙 か)によっ て 色分 けし、 訂正 はせずに 丸 だけで 囲 む。 次 に、 学生 に 間違 いを 直 させる。 個人 でも2 人 1 組 でもよい。
• 間違 いの 一部 だけを 選択 して、 訂正 し ていく: 繰 り 返 し 発生 する 誤 りや、 課 題 の 目的 に 沿 った 誤 りのみを 訂正 す る。( 例 : 接続法 で 作文 する 場合 、 接 続法 のつくり 方 と 用法 の 誤 りだけを 訂正 する。) 既習 にもかかわらず 頻出 する 間違 いについては、 参照先 ( 教科 書 の 該当 ページやウェブサイト)を 学 生 に 伝 える。 • クラスでテストの 添削 をする: 間違 っ ている 箇所 を 丸 で 囲 んだ 答案 を 返却 し、ペアで 訂正 させた 後 、グループで 確認 させる。クラスの 半数 が 完了 した ら、 解答 を 配布 する。 • 添削 に 時間 のかかる 答案 の 場合 ( 作 文 、ダイアログ 等 ): 添削済 みの 課題 を 学生 に 書 き 写 させ、 点数 を 上 げるこ とを 約束 させる。 小 グループで、ある いはクラス 全員 の 前 で、 添削済 みの 課 題 を 発表 させる。 • 覚 えておきたい 修正箇所 を 日付 とと もに 書 き 残 し、 学期中 や 期末 に 確認 す るための「 修正 ノート」を 学生 に 作成 させる。 出来 のいいノートには 期末評 価 で 加点 する。
添削と採点を 効率化するアイデア LE BILLET DE CATHERINE
カトリーヌ・ルメートルさんは、「外国語 としてのフランス語( FLE )」、美術史、外 国語学習者向けのクリエイティブ・ライ ティングを教える教師です。 ああ、 答案添削 の 悪夢 !うっとうしい 秋 雨 のように、あるいはいつまでも 終 わら ない 分割払 いのように、 添削 はすべての テスト、 試験 、 課題 の 後 に 容赦 なくやっ てきます。 添削 は 教師 の 日常生活 につき まとい、 教師 はその 苦行 を 先延 ばしにす る 言 い 訳 を 必死 に 探 すのです。 答案 を 開 けば、 添削 すべき 回答 がまるで 散 らばっ た 真珠 のように 大量 に 待 ち 受 けていま す。 我々 はそれに 目 を 通 し、 注釈 をつけ、 コメントしなければなりません。「この 分 詞 の 一致 はあんなに 授業 で 説明 したの に!」とか「この 活用 はいったい 何度 や ったことか!」とか「この 学生 はちゃん と 考 えて 答 えているのか?」とか「この きれいすぎる 作文 は 人工知能 の 産物 なの では?」などと 嘆息 しながら。 疲 れ 切 った 教師 の 傍 らで、 残酷 にも 答案 の 山 は 手 つかずのまま 猫 にちょっかいを 出 されたり、コーヒーをこぼされそうに なったり。まるで 教師 を 嘲笑 っているか のよう。さらには 電車 に 答案用紙 を 置 き 忘 れたり、 盗 まれたり、なくしたり…と いった 深刻 なうっかりを 想像 して 冷 や 汗 をかいたことのない 教師 はきっと 稀 でし ょう。 悩 みは 尽 きません。
「教師は退屈な添削を軽減 でき、学生は間違いに気付 き成長する。」
採点について • 筆記 テストは、 減点方式 で 行 う: 満点 から 開始 し、 誤 り1ヵ 所 につき1 点 ま たはそれ 以上 の 減点 とする。 例 えば 20 問程度 のテストの 場合 、1~5 問 のミスをした 学生 は A ( A+ 、 A または A- )、7~10 問 のミスは B 、11~15 問 のミスは C 、16 問以上 のミスは D とすると、 採点 の 効率 が 格段 に 上 が る。 採点基準 は 当然 ながらテストの 難 易度 やクラスのレベルに 応 じて 変更 する。
1問目は正解。次の2問は、教師が間違ってい る箇所を丸で囲み、学生が自分で直した。
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