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しにあれとこれを少しずつ」という無難 な手法に収まってしまうことが多かった ようです。しかしながら、 IM はいくつか の決定的かつ根本的な選択をすることで そのすべてを変えました。 質問3:ではそれらの選択のうち、最も重 要なのは何ですか? BJ: テストです!授業中に大きな声で言え ば居眠りしている学生も目を覚ます魔法 の言葉「テスト」で、学生の注意を一気 に引きつけることです。最初はこれでし か牽引できないクラスもあるので、授業 の当初からフル活用していきます。授業 に集中してそれなりにやっていればどん な学生でも合格が保証されるような短い テストを実施するのです。 テスト準備のプロセスが楽しく(クラス メートとの交流がある)、かつ効果的(進 歩し、それを自覚できる)であるように配 慮し、さらに、顕著な努力に対しては最終 成績に数ポイントを加算して報います。こ のプロセスは迅速に行い、学期の間に何度 も回していきますので、初回は各学期の2 回目の授業までに行います。そして以降の
すべてのクラスで繰り返していきます。 学生たちはすぐに慣れ、いつの間にか授 業に参加する良い習慣が身につきます。 授業もいい雰囲気の中でまわっていくよ うになります。そして、授業を適切に運 営していくためにテストがもはや必要で ないことに気付く日がやってきます。ク ラスがインセンティブを必要としなくな るからです。 質問4:テストに頼って学生に勉強を強制 するのは、悲しいことではありませんか? BJ : そうですね、さりとてテストは驚く ほど効果があるのです。ここで重要なの は、私たちが話している「テスト」とは従 来の「試験」とは根本的に違うということ です。楽しくて、短くて、役に立つ、そし て学生の努力に報いるものです。先生と学 生の間には暗黙の了解があり、それは学生 にとってこそ意味のあるものです。 IM は、その(メソッドという)名に反し て、手法というよりもフレームワークで あることに注意していただきたいと思い ます。 IM はいくつかのガイドラインから 構成されており、それらを組み合わせて 使用することで、再現性のある(あえて 言うなら)驚くべき結果を生み出すこと ができます。 このフレームワーク内で、授業のコンテ クストや教師のスタイルなどに応じてさ まざまな指導方法を実施する柔軟性も担 保されるのです。 BJ: その通りです。数人のクリエイティブ な教授によって国内の大学における実際 の講義から生まれたものです。そして、 毎年開催される秋の研究会などのイベン トや、多くの論文、ブルノ・バニュウの 著書『フランス語コミュニケーション教 授法』などの刊行を通じて、長年にわたっ て議論され、継続的に改善されてきまし た。抽象的な机上の理論とは異なり、こ の教授法は日本の教室の文化的実態を核 に時間をかけて結晶化されたものです。 質問5:それではこのアプローチは現場か ら生まれたものなのですね?
で、ギロチン台の処刑とは違った結末に なったのは幸いでした。なんと教師が学 生を第二外国語で話させることに成功し 始めたのです。これは、当時はほとんど 前代未聞のことでした。 質問2: IM が登場する前は、授業がうま くいっている良い先生はいなかったので すか?本当に? BJ: もちろん、場合によっては結果を出し ていた先生もいました。その先生達は、 くつろいだオープンな雰囲気をつくり、 学生にペアを組ませて教室をできるだけ 対話しやすい場にすることに全力を尽く していました。 特に、少人数のグループで学生があまり やる気をなくしておらず、男女比が丁度 良い場合などには、うまくいきやすかっ たようです。 とはいえ先ほども述べたように、日本人 の集団が時として纏う巨大な無気力感は、 多くの場合、授業を停滞させる傾向があ りました。先生たちは果敢に試行錯誤を 繰り返すものの、最終的には「文法を少
学生たちはペアで行うアクティビティに慣れていきます。
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