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こうして、私はこの教員生活から無尽蔵 のエネルギーと喜びと満足を引き出して いるのです。教えることと学ぶことは実 のところ同義ですが、これ以上に崇高な 営みがあるでしょうか。学ぶことは、仕 事やその他の目標に到達するための道具 や鍵を与えてくれるだけではありませ ん。世界を広げ、自分を成長させ、充実 させ、人生に意味を与えてくれるのです。 フランス語は「今日の世界で成功するた めに不可欠なツール」ではないかもしれ ませんが、そもそも外国語を学ぶという ことは別の宇宙にアクセスするというこ となのです。ある意味、別の言語世界と 文化の中で生まれ変わる契機を得るに等 しいと言えます。外国語というツール は、自分の思考回路を一新するだけでな く、母語においてはその表現自体が存在 しなかったゆえに感じることさえ叶わな かった 未知の感情や感覚の扉が開かれる 鍵ともなるのです。外国語を学ぶとは、 もう1人の自分になるということなので す。 一方で日本のフランス語学習者は具体的 な目標を持っていない傾向があります。 彼らがフランス語学習に求めているの は、異国情緒や現実逃避であったり、日 常に彩りを添えたり若返りの気分を味 わったりといったささやかな楽しみなの です。 大学生の動機はもっと曖昧で、時 には存在しないことさえありますが ..... 彼 らはまだ20歳で、前途には洋々たる未 来が開けているのです。語学教師が従来 の役割にとどまらず、学生の生涯に影響 を与える可能性と発見に満ちた別世界へ のガイド役を引き受けられるとしたら、 なんと嬉しく爽快なことでしょう。 だからこそ私が新しい1日を始めるの に、学校や大学のキャンパスほどふさわ しい場所は世界中で他にないのです。

BRUNO JACTAT

「イミディアット・メソッド」を用いた フランス語教授法認定講座についてのFAQ

質問1:なぜイミディアット・メソッド (以下 IM と略)を取り入れる必要がある のですか? ブルノ・ジャクタ(以下 BJ ) : 「フランス 語基礎」や「オーラルコミュニケーショ ン1」といった大規模でやる気のない学生 が多い外国語クラスを時々担当する教師 には、失望を感じる瞬間があるものです。 フランス語やドイツ語のように漠然とし た魅力はあるものの明らかに実用的とは いえない言語を、40人ものやる気のない 学生たちに教えなければならないのは大 変なことです。学生たちの集団から醸し 出される大いなる無気力感によって、教 員側の努力や善意がくじかれるような思 いをすることもあるでしょう。 そのような背景のもと、25年前に日本の 大学の授業から生まれたのがイミディアッ ト・メソッドです。それは日本のフラン ス語教育界における小さな革命の始まり

ブルノ・ジャクタ(筑波大学)

ブルノ・ジャクタは過去には熊本YMCAでフ ランス語教員養成講座を担当、以後も十数カ国 にて教員養成コースに携わってきました。聴覚 と学習の関係、学習ストラテジー、オーラル・ コミュニケーション教授法を研究テーマにされ ています。2023年2月にアルマ出版と Labo-MIが主催する第2回フランス語教授法 認定講座「日本の大学で会話表現をいかに教え るか」にて講師を務めます。

イメディアット・メソッドにはフレームワークと具体的な手順がある。

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