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破綻なく話を組み立てて、自分が本当に 言いたいことと大体同様のメッセージを 伝えるということ。これは外国語を話す ときに必要不可欠なスキルだと思いま す。もちろん練習は必要ですが、このス キルが身につけばほとんど何についてで も話せるようになります。 以上をまとめると次のようになります。 外国語でのコミュニケーションとは、自 分が知っている語彙や構文の範囲内で メッセージを伝えるということです。 フ ランス語で話そうとするとき、最初はこ の経験が衝撃的かもしれません。自分は ネイティブスピーカーではなく、フラン ス人のように上手に話すことができない という事実を認めることに等しいからで す。そして結果として、別の戦略、言語 に対する別の考え方を採ることに繋がり ます。通常フランス語を学ぶ際には、ネ イティブが自然なフランス語で書いた 様々な文章や日常会話文を参照するもの ですが、学生がそれをそのまま真似しよ うとするのは現実的に不可能であり、や り方として間違っているとさえ思いま す。そういった方法はその言語に熟達し て初めて可能になることではないでしょ うか。初級者のうちは、必ずしもネイティ ブが使うような表現でなくとも、シンプ ルな表現や応用しやすく真似しやすい表 現に焦点を当てて学習する方が効果的だ と思います。 こういった要素を授業に取り入れ始めた のは10年ほど前です。様々なタイプの練 習やアクティビティを取り入れながら、 少しずつ練り上げてきました。現在は、 これまでの経験と実践を基にした2年生 向けの教科書『 Moi, je... コミュニケーショ ン A2 』を制作しています。ここからは、 その仕組みを紹介するとともに、具体的 な練習問題を参加者の皆さんに実際に やってもらいたいと思います。
失望感から投げやりになったりしてしま い、職場を変えることもありました。 2010年、私は DUFLE に合格し、東京日 仏学院、そして大学で FLE (それぞれこ れまでのキャリアに関連したライティン グと美術史が専門)を教えるようになっ たのです。以降の10年はまさに運命的 な節目となりました。一度も退屈するこ となく、やる気をなくしたり他に目移り するほどの余裕が生まれたりすることも なく過ぎていきました。 朝から晩まで続く授業準備のおかげで、 毎日が新しい発見と豊かな実りに満ち ていると感じます。なぜなら、日常生 活、仕事、趣味、知的活動等に関わる あらゆることが授業の材料になるから です。例えば読書、ラジオ、テレビ、 映画鑑賞、同僚との議論、旅行など、 生活におけるあらゆる経験が授業計画 の糧となっています。 もちろん、授業中 や授業外での学生との交流も大いに役 立っています。 また、毎日がアドレナリンによる興奮と 小さな挑戦の連続です。例えば、「今日 の授業はどうなるだろう?」、「いい具合 に盛り上がるだろうか?」、「授業を台無 しにしたり居眠りをする学生はいるだろ うか?」、「学生は集中して、興味と好奇 心を持って、満足してくれるだろう か?」、「楽しい授業になるだろうか?」、 「質問にうまく答えることができるだろ うか?」、「想定外の事態は起こるだろう か?」、「学生のやる気を刺激し、成長に 貢献し、その人生に新しい何かをもたら すことができるだろうか?」と。
教師…それは世界で 最も素晴らしい仕事! CATHER I NE LEMAI TRE
カトリーヌ・ルメートルさんは、「外国語とし てのフランス語(FLE)」、美術史、外国語学 習者向けのクリエイティブ・ライティングを 教える教師です。 大学の門をくぐり、リュック片手に教室 へ急ぐ学生たちの群れを横切ると、毎週 言葉にできないほどの喜びでいっぱいに なります。 私が外国語としてのフランス語を教え始 めたのは、大企業でのジャーナリスト、 翻訳者、編集者としてのキャリアを積ん だ後、人生の後半になってからです。そ れまでは大体10年経つと、仕事をやり きったという気持ちや倦怠感、あるいは
外国語というツールは、自分の思考回路を一新 するだけでなく、母語においてはその表現自体が存 在しなかったゆえに感じることさえ叶わなかった未 知の感情や感覚の扉が開かれる鍵ともなるのです。 外国語を学ぶとは、もう1人の自分になるというこ となのです。
この非常に刺激的なワークシ ョップの全記録をニュースレ ターに掲載したいところです が、紙幅の関係から不可能で した。残りは是非YouTube でご覧ください!
ワークショップ の様子はこちら
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