Newsletter2019_JP
にとって馴染みのない文法用語を用いた説明は敢えて避 けてあります。
加えて、巻末にある「復習問題」を宿題などとして利 用できます。こちらの問題は全体的により応用的な内容 となっています。 ● 専⽤ウェブサイトの役割 ウェブサイト(grammaire-francaise.com)には、 • 音声トラック • より詳しい説明や補足的な文法事項(「 理解を深 めるために 」) • 動詞の活用表 があります。スマートフォンとパソコンの両方に対応し ています。 最近では、学生が授業へのパソコン持参を義務付けら れたり、教員が学習管理システム(LMS、例えばMoodle など)の利用を勧められたりすることも増えてきていま す。その場合は、このウェブサイト上の各課へのリンク をLMSの「今日の授業」等のページに貼ってもいいです が、ウェブサイトの構成は非常にシンプルなので、学生 に任せても問題なく各課にアクセスできるでしょう。 このウェブサイトの役割は教科書の内容を補完するこ と にあります。教科書だけでも基礎的な学習に支障はあ りませんが、ウェブサイトと合わせて用いることでより 学習効果が上がります。教科書が学習のメインで、ウェ ブサイトはその補助役です。我々はすべて「デジタル化」 してしまうのが最適なやり方だとは思っていません。実 際に手にとれる本があってこそ、ページをパラパラめ くって学習進度を実感したり、既習の内容にざっと目を 通したりすることができるのであって、1度に1つの ページしか映らないデジタルなスクリーンではそうはい きません。また、本ならページを繰るだけで簡単に他の 課を参照できます。実際に手を動かして書き込むことも 重要です。兎にも角にも語学学習に紙の本は欠かせない と考えています。 ● コラム「フランスの窓」の活⽤⽅法 「フランスの窓」はフラン スとフランス文化を様々な 面から紹介する短いコラム で、見て楽しい写真もつい ています。文法学習の息抜 きになりますし、フランス への何かしらの興味がわく ことでフランス語の学習意 欲向上につながればという 教育的意図も込められています。 授業中にコラムの内容について解説する他、学生に自分 で読ませておくだけでもいいでしょう。
次に、文法教員にとっては馴染み深い「説明」のス テップに移ります。 重要な基本事項は決して外すことな く、できるだけ説明が長くならないように内容を絞りま した。たった1度の説明で文法の隅から隅まで理解させ ようとしても、残念ながらドン・キホーテ的な試みにし かならないからです。 例えば、代名動詞を取り上げてみましょう。理論的に は、大きく2つの使われ方があります。1つ目は再帰代 名詞が直接補語の場合で、複合過去にする場合には過去 分詞が主語(より正確には直接目的補語である再帰代名 詞)の性数に一致するものです(Elle s'est couchée)。 2つ目は再帰代名詞が間接補語の場合で、複合過去にお いては過去分詞の性数一致はありません(Elle s'est lavé les mains)。 両方ともよく使われる重要な用法ですが、本書では 別々に取り上げることにしました。教科書内の課では、 一番基本的な1つ目のみを扱います(E l l e s ' e s t couchée.)。それだけでも、代名動詞の仕組みや意味、 否定形や命令形など理解すべきことが山積みであるの で、それに加えて再帰代名詞の直接・間接目的補語の区 別を求めるよりは、より単純なケースをまずはしっかり と学習してもらうことが重要だと考えるからです。2つ 目については、ウェブサイトの「理解を深めるために」 で扱います。学生はスマートフォンやパソコンですぐ閲 覧できますし、教員が授業中に説明したい場合はプロ ジェクターで映すこともできます。 以上のように、内容の優先度に応じて教科書とウェブ サイトに段階分けすることで学習効果が上がると判断し ました。優先度をつけるためにある文法事項を省いてお しまいにするのではなく、二段構えで重要事項を網羅し ています。 最後に、「練習」のステップです。 従来の教科書より も練習問題の量が多めになっているのは、できる限り、 1つの問題で1つの要点だけを扱うようにしたためで す。比較的速くこなせるのに加え、問題ごとに1つずつ 要点を確認し無理なく身につけられるようになっていま す。各課の「練習しよう!」の練習問題ではそういった 要点の血肉化に焦点を当てています。
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